eスポーツ業界は2025年に入り、さらなる発展を遂げています。世界中で大規模な大会が開催され、プロゲーミングチームの活躍はファンを熱狂させています。このブログ記事では、世界と日本のトップクラスのeスポーツチームについて、最新情報と共に詳しく解説します。
世界と日本のeスポーツ強豪チームの紹介
各チームの運営体制と収益構造の解説
2025年注目のeスポーツ大会情報
今後のeスポーツチーム運営の展望と課題
eスポーツ業界の現状とチームの重要性
eスポーツ業界は年々拡大を続け、2025年現在では主要な競技として確立されています。特に注目すべきは、プロゲーミングチームの役割です。プロeスポーツ選手は、多くの場合クラブチームに所属します。チームでプレイする場合はもちろん、ソロプレイヤーの場合も、クラブチームに入ることでさまざまなメリットがあるからです。
契約に関する事柄を専門的なスタッフに任せられたり、クラブが雇用しているコーチやスタッフのサポートを受けられたりするため、eスポーツに集中できる環境を構築しやすくなります。また、個人のeスポーツプレイヤーよりもクラブチームはスポンサーがつきやすいという利点もあるでしょう。
世界のトップクラスeスポーツチーム
FaZe Clan (フェイズ・クラン)
FaZe Clanは世界で最もファンの多いプロゲーミングチームの一つです。2010年にスナイパーチームとしてYouTube活動を開始し、2012年にプロチームを発足しました。FPSタイトルCall of Dutyシリーズで多くの結果を残しており、ファンの間では名作と名高いCall of Duty:Black OpsⅡの大ヒットによってチームの人気は不動のものになりました。
Call of Duty のイメージが強いFaZe Clanですが、それだけではなくCS:GO・PUBG・FIFA・フォートナイトといったタイトルの競技シーンでも積極的に活動しています。
Cloud9 (クラウド・ナイン)
Cloud9はアメリカのプロゲーミングチームです。MOBAタイトルLoL(リーグ・オブ・レジェンド)のeスポーツチームであった「Quantic Gaming」を元に2013年に設立されました。
現在はCS:GOやPUBGなどジャンルを問わず幅広いゲームジャンルで競技シーンへ参戦しています。いくつもの大会で実績を残しているだけでなく、アメリカの経済誌「Forbes」が掲載した「世界で最も価値のあるeスポーツ企業」では1位に取り上げられるなど知名度の高さも抜群です。そのため、eスポーツ業界では非常に影響力の強い最大手のeスポーツチームとして認識されています。
Team Liquid
Team Liquidは複数のタイトルで活躍する多国籍チームで、特に『League of Legends』や『Dota 2』などの大会で優勝実績を持つ世界的な強豪チームです。その豊富な資金力と選手育成能力は業界でも高く評価されています。
T1
韓国の強豪チームであるT1は、『League of Legends』の世界大会で何度も優勝を飾っている伝説的なチームです。特に『LoL』部門はFakerというプレイヤーを中心に構成され、世界最高峰の実力を誇っています。
日本のトップクラスeスポーツチーム
Crazy Raccoon (クレイジーラクーン)
Crazy Raccoonは、株式会社Samurai工房が運営しているeスポーツクラブチームです。2018年に創設され「ゲーマーをかっこよく魅せる」ことをモットーにeスポーツ活動を行っています。
Crazy Raccoonは、有名eスポーツプレイヤーやストリーマーも多数所属し、国際大会でも活躍している日本の代表的なeスポーツクラブチームのひとつです。2024年現在は全8ジャンルで活動しており、自クラブでeスポーツ大会を主催しています。Crazy Raccoon Cupは国内でも比較的大規模なeスポーツ大会として盛り上がりを見せています。
ZETA DIVISION
ZETA DIVISIONは日本を代表するeスポーツチームの一つで、特にVALORANTで国際的な活躍をしていることで知られています。2025年現在では、他のタイトルにも進出し、ファッション業界とのコラボレーションなど幅広い活動を展開しています。
FENNEL
FENNELは日本の強豪eスポーツチームの一つで、複数のゲームタイトルで活躍しています。特に『VALORANT』や『Apex Legends』などのFPSジャンルで強さを発揮しており、日本トップクラスのチームとして認識されています。
REJECT
REJECTは日本のトップクラスのeスポーツチームの一つで、様々なタイトルで活躍しています。国内大会での優勝実績も多く、日本eスポーツシーンの中心的存在となっています。
SCARZ
SCARZは2012年に『バトルフィールド3』の特化チームとして誕生した後、2015年に活動タイトルが増え、セミプロからプロチームへと生まれ変わりました。特に『Counter-Strike: Global Offensive(CS:GO)』部門での活躍が目覚ましく、国内大会で10度の優勝経験を飾った実績を持っています。
eスポーツチームの運営と収益構造
収益モデルの課題
eスポーツ業界では、多くのチームが運営の難しさに直面しています。「eスポーツ業界は大手チームでも黒字経営が難しく、収益化の壁は高いのが現状」と言われています。
多くのeスポーツチームがチームの収入だけでは運営できず、オーナー企業からの支援に頼っている状況です。事業としては、赤字経営をしているチームは少なくありません。
この原因は、従来のナショナルクライアントのPR予算に頼った収益構造にあります。PR目的でチームをスポンサードする企業にとって、トップクラスのチームでなければ媒体価値がないため、中小規模のチームをスポンサードする理由がないのです。
新たな収益化への挑戦
ただし、ただ企業ロゴをユニフォームや画面に貼り付けるだけの価値の薄いリターンではなく、実際に集客にインパクトのある価値提供ができれば、eスポーツチームにお金を出したいと思う企業は増えると考えられています。
例えば、Our’s Ship Gaming(アワーズシップゲーミング)の運営会社であるアワーズシップ株式会社のように、IT企業がeスポーツチームを運営するケースも増えています。日本トップクラスのeスポーツチームを目指し、業界全体を世界レベルへ引き上げることを目標としているチームもあります。
2025年の主要eスポーツ大会情報
ALGS OPEN 2025
Electronic Arts(EA)とRespawn Entertainmentは、『Apex Legends Global Series(ALGS)』の2025年チャンピオンシップを米国で開催することを発表しました。本大会は、ALGS史上最大規模のLANイベントとなる予定で、2025年シーズンの開幕戦として、5月1日から5月4日にかけて「ALGS OPEN」が開催されることも決定しました。
この大会には各地域から総勢160チームが集まり、Apex Legendsのeスポーツ史上最大級のオフライントーナメントとなります。
League of Legends 2025シーズン
2025年の『リーグ・オブ・レジェンド』eスポーツシーンでは大きな変革が行われます。世界各地でのルールとスケジュールの統一が図られ、年頭にトーナメント方式の国際大会が追加されました。「MSI」や「Worlds」への参戦にもつながり、3つの国際大会となります。
また、「LCS」(北米)と「LLA」(ラテンアメリカ)、「CBLOL」(ブラジル)が統合されて「Americas」に、中国、韓国以外のアジアの多く(日本の「LJL」含む)の地域が統合されて「APAC」になります6。
ゲーム面では、前の試合で使用したチャンピオンがすべてバンされる「フィアレス ドラフト」が国際大会で採用される予定です。
eスポーツチームの編成と選手の役割

チーム人数と編成の特徴
eスポーツでは、ゲームタイトルによってチーム編成が異なります。『Apex Legends』は3人1チーム、『VALORANT』や『League of Legend』なら5人1チームと、3人から5人でのチーム編成で実施されることが多くなっています。
チームスポーツでは9人1チームの野球や11人1チームのサッカー、そして15人も必要なラグビーもお馴染みですが、eスポーツでは10人規模のチーム競技は非常に珍しいと言えます。
この理由として、スポーツもeスポーツも1チームの人数が増えるほど連携が重要になる反面、「プレイヤーひとりあたりが勝敗に関与できる割合」は下がっていくことが挙げられます。あまりに人数が増えると真剣に腕前を競い合いたいプレイヤーにとっては、やりがいが少なく感じられてしまうことが考えられます7。
控え選手の少なさ
eスポーツでは現実のスポーツと異なり、「ベンチ入り」する選手の人数も少ない傾向があります。体力的な負荷が少ないeスポーツでは体力の限界を迎えて選手交代をする必要がないため試合途中の交代制度もなく、控えの選手の必要性が低くなっています。
試合ごとに出場選手を変更することは多くのeスポーツタイトルで認められているルールですが、スポーツではよく見られる「シチュエーションに応じた選手の使い分け」は現在のeスポーツシーンではほとんど見受けられません7。
このため多くのチームが最小限の選手数でチームを構成していますが、長期に渡るリーグ戦などでは体調不良など不測の事態で欠場を余儀なくされる可能性もあり、控え選手を採用していないチームは選手経験のあるコーチや育成組織の選手が代役として出場するケースも見られます。
企業によるeスポーツチーム運営
IT企業の参入
近年では多くの企業がeスポーツチームを運営しています。例えば、S2ファクトリーという会社では社内でeスポーツ部を創設しており、「チーム S2ファクトリーを結成」しています。
週に一度の活動では三人一緒にゲームをプレイし、その様子を撮影して戦評を行ったり、slackチャンネルで盛んに意見交換が行われたりしています。
また、アワーズシップ株式会社のように、IT事業を行う傍ら、プロゲーミングチームの運営にも挑戦している企業もあります。
eスポーツチーム運営の目的
企業がeスポーツチームを運営する目的は様々です。テマヒマ社のように、eスポーツプレイヤーのコンディショニングをサポートするサプリメントブランド『ガチサプ』を展開し、プロゲーマーとして活躍するeスポーツプレイヤーを輩出し、業界の活性化を図るために、ゲーミングチーム「GACHI GAMING(略称:GG)」を発足させた企業もあります。
GACHI GAMINGでは、ゲームカルチャーを広めてゲームに熱狂する人を増やすために、チーム運営以外にもイベントの実施、プロダクトの開発にも取り組んでいます。チームとしては、次世代のトッププレイヤーとなる若手を育成し、世界で活躍するチームとなることを目指しています。
今後のeスポーツチームの展望
持続可能なビジネスモデルの構築
eスポーツチームが長期的に発展していくためには、持続可能なビジネスモデルの構築が不可欠です。単にスポンサー収入に頼るだけでなく、ファンとの交流イベントやオリジナル商品の販売、コンテンツ制作など、多角的な収益源を確保することが重要となっています。
Our’s Ship Gamingのように、「ファンやコミュニティを何より大切にしたい」と考え、「応援してくれる人がいるからこそ、選手は挑戦でき、勝たなければいけない理由が生まれる」というビジョンを持つチームも増えています。
選手の長期的キャリア支援
「選手のキャリアを競技シーンだけで終わらせたくない」という考えのもと、引退後も「ストリーマー、コーチ、アナリスト、マネージャー、運営メンバー、さらにはITエンジニアなど多様な道」を用意し、次のステップに進める環境を整えているチームも登場しています。
選手主導でeスポーツのコーチングスクールを運営するなど、選手の声から生まれた取り組みを実施するチームもあり、eスポーツ産業の持続的な発展に寄与しています。
まとめ
2025年現在、eスポーツ業界はさらなる成長を遂げ、トップクラスのチームは単なるゲームの強いプレイヤーの集まりではなく、ビジネスとして持続可能な組織へと進化しています。世界では、FaZe Clan、Cloud9、Team Liquid、T1などのチームが活躍し、日本でも、Crazy Raccoon、ZETA DIVISION、FENNEL、REJECTなどのチームがトップクラスの実力を誇っています。
eスポーツチームの運営は依然として課題が多いものの、新たなビジネスモデルの構築や収益源の多様化、選手のキャリア支援など、業界の持続的な発展に向けた取り組みが進められています。今後も、eスポーツチームはゲーム業界だけでなく、エンターテインメント産業全体において重要な位置を占めていくことでしょう。
最新の大会情報や選手の活躍に注目しながら、トップクラスのeスポーツチームの動向を追い続けていきたいと思います。