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【完全ガイド】初心者のための3Dプリント入門|始め方からおすすめ機種まで5ステップ解説

【完全ガイド】初心者のための3Dプリント入門|始め方からおすすめ機種まで5ステップ解説 アイテム

3Dプリントを使えば、誰でも頭の中のアイデアを立体的な形にできます

この記事は、3Dプリントの基本知識から、必要な機材の選び方、具体的な使い方、おすすめの家庭用3Dプリンターまで、初心者がゼロから始めるための全知識を5ステップでわかりやすく解説する完全ガイドです。

難しそうだけど、自分にもできるのかな?

大丈夫です!この記事を読めば、基礎から実践までスムーズに理解できます

  1. 3Dプリントの基本、仕組みとできること
    1. 3Dプリントとは、立体物を生み出す技術
    2. FDM方式(熱溶解積層)の特徴
    3. 光造形方式(SLA/DLPなど)の特徴
    4. 家庭でできること、作れるもの具体例
    5. 3Dプリントのメリット・デメリット
  2. 必要なものを揃える、プリンター・材料・ソフトウェア選び
    1. 3Dプリンター本体の選び方ポイント
    2. パソコンの推奨スペック目安
    3. 材料選び1 FDM用フィラメントの種類(PLA, ABS, PETG)
    4. 材料選び2 光造形用レジンの種類
    5. 必須ソフトウェア1 3Dモデリングソフト(Tinkercad, Fusion 360など)
    6. 必須ソフトウェア2 スライサーソフト(Ultimaker Cura, PrusaSlicerなど)
    7. あると便利な道具類(ヘラ、ニッパー、手袋など)
  3. アイデアを形に、3Dデータの準備方法
    1. 無料3Dデータサイトの活用(Thingiverse, Printablesなど)
    2. 初心者向け3Dモデリングソフトでのデータ作成
    3. 3Dスキャナーの利用について
  4. 実践、3Dプリンターでの印刷手順
    1. プリンターの設置と初期設定(レベリング調整)
    2. スライサーソフトでの主な印刷設定項目
    3. Gコードファイルの生成とプリンターへの転送方法
    4. 印刷開始時のチェックポイント(定着確認)
    5. 印刷中の注意点と見守り
  5. 作品完成へ、仕上げ作業とトラブル対策
    1. 造形物の安全な取り外し方
    2. サポート材のきれいな除去方法
    3. FDM方式の後処理(研磨、塗装)
    4. 光造形方式の後処理(洗浄、二次硬化)
  6. よくある質問(FAQ)
    1. 3Dプリンターって、具体的にどんなものが作れるんですか?
    2. 初心者向けで、なるべく価格が安い3Dプリンターはありますか?
    3. デザインの知識がない初心者でも、3Dプリントは楽しめますか?
    4. 印刷が途中で失敗したり、うまくいかなかったりしませんか?
    5. プリンター本体の価格以外に、継続的にかかる費用はどれくらいですか?
    6. 家の中で3Dプリンターを使う場合、安全性や音、臭いなどは大丈夫ですか?
  7. まとめ

3Dプリントの基本、仕組みとできること

3Dプリントの基本、仕組みとできること

3Dプリントは、あなたのアイデアを形にするための素晴らしい技術です。

デジタルデータさえあれば、誰でも簡単に立体物を生み出せる点が最大の魅力と言えます。

ここでは、3Dプリントとは何か、その代表的な方式(FDMと光造形)家庭でできること、そして知っておきたいメリット・デメリットについて解説します。

基本を理解すれば、3Dプリントがより身近に感じられるはずです。

3Dプリントとは、立体物を生み出す技術

3Dプリントとは、3Dモデルと呼ばれるデジタルデータをもとに、材料を一層ずつ正確に積み重ねて、現実世界に立体物を造り出す技術です。

Additive Manufacturing(付加製造)とも呼ばれます。

まるで魔法のように感じられますが、プリンターが設計図通りに材料を少しずつ足していくことで形作られます。

これにより、従来は複数の部品を組み合わせる必要があった複雑な形状も、一体で造形できるケースが増えました。

設計データさえあれば、試作品やオリジナルグッズなどを素早く形にできる、革新的な製造方法なのです。

FDM方式(熱溶解積層)の特徴

FDM方式(Fused Deposition Modeling)は、日本語では熱溶解積層法とも呼ばれます。

熱で溶かした樹脂(フィラメントと呼ばれる、糸状のプラスチック材料)を細いノズルから押し出して積み重ねていくことで、立体物を形作る方式です。

この方式の最大の魅力は、手頃な価格の家庭向けプリンターが豊富に販売されている点です。

安いモデルであれば3万円程度から購入可能で、多くの初心者の方が最初に選ぶタイプとなります。

使用できる材料の種類も豊富で、目的に合わせて選べるのも利点です。

FDM方式って、仕上がりはどんな感じなのかな?

熱で溶かした樹脂を積み重ねるので、よく見ると層になっているのが分かりますが、設定次第でかなり綺麗に仕上がりますよ

材料費も比較的安価で扱いやすいため、試作品を作ったり、日常使いの道具を作ったりするのに適しています。

初めての3Dプリンターとして、まず検討したい方式です。

光造形方式(SLA/DLPなど)の特徴

光造形方式は、紫外線(UV)などの光に反応して硬化する液体状の樹脂(レジン)に、光を精密に照射して一層ずつ固めていくことで立体物を形作る技術です。

代表的な方式として、レーザー光で描画するSLA(StereoLithography Apparatus)方式や、プロジェクターで面単位に光を照射するDLP(Digital Light Processing)方式などがあります。

FDM方式と比較して、非常に高精細で、表面が滑らかな造形物を作れる点が最大の特徴です。

そのため、フィギュアや宝飾品の原型、精密な部品など、細かいディテールや美しい仕上がりが求められる用途で強みを発揮します。

近年、家庭向けの比較的手頃な価格の機種も増えてきました。

光造形は綺麗だけど、後処理が少し大変そう…

確かに洗浄や二次硬化の手間はありますが、その分、驚くほど綺麗な仕上がりが得られます

レジンの扱いや後処理には注意が必要ですが、それを補って余りあるほどの美しい造形が可能です。

造形物のクオリティを最優先したい場合に検討したい方式となります。

家庭でできること、作れるもの具体例

家庭用3Dプリンターがあれば、あなたのアイデア次第で、実に様々なものを自分の手で作り出すことができます。

既製品では満足できない、ちょっとした不便を解消したい、そんな思いを形にできるのが3Dプリントの面白さです。

例えば、スマートフォンスタンドやタブレットホルダー、散らかりがちなケーブルをまとめるクリップ、イヤホンケースといった日用品。

あるいは、好きなキャラクターのフィギュアやミニチュア、オリジナルのアクセサリーパーツなどの趣味のアイテム。

さらには、壊れてしまった家電製品の小さなプラスチック部品や、DIY作業で使う特殊な治具(補助具)なども、データさえあれば作ることが可能です。

作りたいものはあるけど、自分でデザインできない…

大丈夫です!無料で使える3Dモデルデータがたくさん公開されているので、最初はダウンロードして印刷してみるのがおすすめです

このように、実用的なものから遊び心あふれるものまで、作れるものは無限大です。

まずは簡単なデータを探して、実際にプリントしてみることから始めましょう。

3Dプリントのメリット・デメリット

3Dプリントは魅力的な技術ですが、導入する前にメリットだけでなく、デメリットもしっかりと理解しておくことが重要です。

これにより、後悔のない選択ができ、より効果的に活用できます。

メリットとしては、頭の中のアイデアを素早く形にできる創造性、試作品製作のコストと時間削減、個々のニーズに合わせたカスタマイズの容易さなどが挙げられます。

一方、デメリットとしては、造形に時間がかかること、材料費や電気代などのランニングコスト、造形後の後処理の手間、そして時には失敗するリスクも考慮しなければなりません。

3Dプリントを始める際は、これらのメリット・デメリットを理解し、ご自身の目的や環境に合っているかを検討することが大切です。

特に、時間やコスト、設置環境については、事前に確認しておきましょう。

必要なものを揃える、プリンター・材料・ソフトウェア選び

必要なものを揃える、プリンター・材料・ソフトウェア選び

3Dプリントを始める上で、ご自身の目的や環境に合った機材やソフトウェアを選ぶことが、スムーズなスタートと満足のいく結果に繋がる最も重要なポイントです。

このセクションでは、3Dプリンター本体の選び方から、必要なパソコンのスペック材料となるフィラメントやレジンの種類、そして必須となるソフトウェア、さらには作業を快適にする便利な道具まで、揃えるべきものを具体的に解説します。

これらを一つずつ確認し、あなたの目的や予算に合ったものを選んでいきましょう。

3Dプリンター本体の選び方ポイント

まず、3Dプリンター本体を選ぶ際のポイントを押さえましょう。

方式(FDMか光造形か)、造形サイズ、予算、求める精度、設置スペース、組み立て済みかキットかなどを考慮する必要があります。

初心者の方には、数万円程度で購入できる組み立て済みのFDM方式プリンターが、初期設定の手間が少なく扱いやすいためおすすめです。

例えば、Creality Ender 3 V3 SEANYCUBIC Kobraなどが人気があります。

どの機種を選べば失敗しないかな?

最初はレビューが多く、情報が見つけやすい定番モデルを選ぶと安心ですよ

これらのポイントを参考に、ご自身の作りたいものや環境に合ったプリンターを選び出すことが大切になります。

パソコンの推奨スペック目安

3Dプリンターを使うには、3Dモデルデータを準備したり、スライサーソフトを動かしたりするためのパソコンが必要です。

高度な3Dモデリングを行わない限り、必ずしも最新の高性能パソコンは必要ありません

一般的な事務作業やインターネット閲覧ができる程度のスペックがあれば、多くのスライサーソフトは動作します。

目安として、メモリ8GB以上、CPUはIntel Core i5またはAMD Ryzen 5相当以上あれば、比較的快適に作業できるでしょう。

今のパソコンでも使えるかな…?

まずは使いたいソフトの公式サイトで推奨スペックを確認してみましょう

すでにお持ちのパソコンで十分な場合も多いので、はじめにソフトウェアの要求スペックを確認してみてください。

材料選び1 FDM用フィラメントの種類(PLA, ABS, PETG)

FDM方式の3Dプリンターで使用する材料はフィラメントと呼ばれ、糸巻きのような形状をしています。

熱で溶かして積み重ねることで造形する仕組みです。

代表的なフィラメントにはPLA、ABS、PETGの3種類があり、それぞれ特徴が異なります。

初心者が最初に使うなら、扱いやすく、熱収縮が少ないPLAがおすすめです。

標準的な1.75mm径のフィラメントが一般的で、価格は1kgあたり2,000円から4,000円程度で購入できます。

どのフィラメントから試すのが良いですか?

まずはプリンターに付属しているか、推奨されているPLAフィラメントから試してみるのが良いでしょう

作りたいものや求める強度、使用環境に合わせて、フィラメントを選ぶことが重要です。

材料選び2 光造形用レジンの種類

光造形方式(SLA/DLPなど)では、液体状の紫外線硬化樹脂(レジン)を材料として使用します。

特定の波長の光を照射することで硬化させ、精密な造形を行うのです。

レジンには様々な種類があり、スタンダードレジン、タフレジン(高強度)、フレキシブルレジン(柔軟性)、水洗いレジンなどが存在します。

価格は500gあたり3,000円から8,000円程度です。

水洗いレジンは、従来必要だったアルコール洗浄が不要で、後処理が簡単なため初心者の方にも人気があります。

レジンって扱いが難しそう…

水洗いレジンなら特別な洗浄液が不要なので、比較的気軽に試せますよ

使用するプリンターに対応しているレジンを選び、換気や保護具の着用など、安全に注意して取り扱うことが求められます。

必須ソフトウェア1 3Dモデリングソフト(Tinkercad, Fusion 360など)

3Dモデリングソフトは、コンピューター上で立体的な形状(3Dモデル)を作成・編集するためのソフトウェアです。

自分でオリジナルのデザインを作りたい場合に必要になります。

初心者の方には、ウェブブラウザ上で直感的に操作できる無料のTinkercadがおすすめです。

基本的な図形を組み合わせるだけで、簡単にモデルを作成できます。

より本格的な設計を行いたい場合は、高機能ながら非商用利用であれば無料で使えるAutodesk Fusion 360も人気を集めています。

※非商用、スタートアップ、教育機関向けライセンス等で無料利用可能

デザインなんてやったことないけど大丈夫?

Tinkercadのようなソフトなら、粘土遊び感覚で始められますよ

最初は無料のソフトで基本的な操作に慣れ、作りたいもののレベルに合わせてステップアップしていくのが良いでしょう。

必須ソフトウェア2 スライサーソフト(Ultimaker Cura, PrusaSlicerなど)

スライサーソフトは、3Dモデルデータを3Dプリンターが読み取れる形式(Gコード)に変換するためのソフトウェアです。

モデルを薄い層(スライス)に分割し、ノズルの動きや温度などを指示するデータを作成します。

このソフトがなければ印刷は実行できません

代表的な無料スライサーソフトとして、Ultimaker CuraPrusaSlicerがあります。

多くのFDM方式プリンターに対応しており、豊富な設定項目で印刷品質を細かく調整できる点が特徴です。

プリンターメーカーが独自の推奨スライサーソフトを提供している場合もあります。

設定がたくさんあって難しそう…

最初はプリンターメーカー推奨の設定(プロファイル)を使えば大丈夫です

まずは基本的な設定から試し、徐々に各項目の意味を理解していくことで、より高品質な印刷を目指すことができます。

あると便利な道具類(ヘラ、ニッパー、手袋など)

3Dプリンター本体、パソコン、材料、ソフトウェア以外にも、作業をスムーズに進めたり、安全性を高めたりするためにあると便利な道具がいくつかあります。

特に、造形物をプリント台から剥がすためのヘラ(スクレーパー)、フィラメントを切断したりサポート材を除去したりするニッパーは必需品に近いでしょう。

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安全のために耐熱手袋保護メガネ、レジンを扱う場合はニトリル手袋を用意することを強く推奨します。

全部揃えないとダメですか?

最初はヘラとニッパーがあれば最低限の作業はできますよ

これらの道具は、100円ショップやホームセンター、Amazonなどのオンラインストアで手軽に入手できるものも多いので、必要に応じて揃えていくと良いでしょう。

アイデアを形に、3Dデータの準備方法

3Dプリントを行うためには、元となる3Dデータが必要不可欠です。

この設計図があって初めて、3Dプリンターは立体物を造形できます。

データを用意する方法は主に3つ考えられます。

無料サイトから完成されたデータをダウンロードする自分でモデリングソフトを使ってゼロから作成する、あるいは3Dスキャナーで実在する物体を読み取る方法です。

自分のスキルレベルや作りたいもの、かけられる時間などを考慮して、最適なデータ準備方法を選びましょう。

無料3Dデータサイトの活用(Thingiverse, Printablesなど)

Thingiverse(シンギバース)Printables(プリンタブルズ)は、世界中のユーザーが作成した3Dデータを共有している代表的なプラットフォームです。

デザインの共有を目的としており、多くのデータが無料で公開されています。

これらのサイトでは、日用品の便利グッズからキャラクターフィギュア、教育用モデルまで、数十万点以上の多種多様なデータが無料でダウンロード可能です。

アカウントを登録すれば、お気に入りのデータをコレクションしたり、製作者にコメントを送ったりする交流も楽しめます。

英語のサイトばかりだと、探すのが大変そう…

サイト内検索で日本語キーワードも使えますし、カテゴリ分類から探すのも便利ですよ

まずはこれらのサイトで興味のあるデータを探し、ダウンロードして試しにプリントしてみることが、3Dプリント体験への最も簡単な第一歩となります。

初心者向け3Dモデリングソフトでのデータ作成

3Dモデリングソフトは、パソコン上で立体的な形状を設計・作成するためのソフトウェアです。

「CADソフト」とも呼ばれますが、専門知識がなくても直感的に操作できる初心者向けの無料ソフトも多く登場しています。

例えば、Autodesk Tinkercad(ティンカーキャド)は、ウェブブラウザ上で動作するためインストール不要で、まるで粘土細工のように基本的な図形を組み合わせたり削ったりするだけで、簡単なモデルなら数十分程度で作成可能です。

より本格的な設計に挑戦したい場合は、高機能ながら学生・教員・非営利目的など特定の条件下で無料利用できるAutodesk Fusion 360もあります。

デザインセンスがないと、自分で作るのは難しいかな?

最初は簡単な図形の組み合わせから試してみましょう!既存のデータを参考に改造するのもおすすめです

自分で一からデザインしたものが実際に形になる喜びは格別です。

簡単な形状から始めて、モデリングのスキルを少しずつ身につけていくのも、3Dプリントの大きな楽しみ方の一つと言えるでしょう。

3Dスキャナーの利用について

3Dスキャナーとは、現実世界に存在する物体にレーザー光やパターン光を当て、その反射をセンサーで捉えることで、物体の形状をデジタルな3Dデータとして取り込む装置です。

スマートフォンのカメラ機能を利用したアプリタイプの簡易的なものから、数百万円以上するような高精度な業務用の専用機まで、様々な種類が存在します。

例えば、iPhoneの一部のモデルに搭載されているLiDARセンサーを活用する「Scaniverse」のようなアプリを使えば、特別な機材なしで手軽に身の回りのものをスキャンして3Dデータに変換できます。

ただし、生成されるデータの精度は専用機に比べて低く、光沢があって乱反射する物体や、細かすぎる凹凸、非常に複雑な形状などは正確にスキャンするのが難しい場合があります。

壊れた部品をスキャンして複製できたら便利そう!

まさに!寸法精度が求められる部品の場合は、スキャン後のデータ修正や調整が必要になることもあります

既存の物体をコピーしたり、修理用の部品を作ったりしたい場合に有効な方法ですが、機材の導入コストや操作の難易度を考えると、初心者の方が最初に選ぶデータ準備方法としては、ややハードルが高い選択肢かもしれません。

実践、3Dプリンターでの印刷手順

3Dプリントの準備が整ったら、いよいよ実際に印刷するステップに進みます。

プリンターを動かす前の準備と、実際の印刷工程が成功の鍵を握ります。

このセクションでは、プリンターの設置と初期設定からスライサーソフトでの設定Gコードファイルの生成と転送印刷開始時のチェックポイント、そして印刷中の見守りまで、具体的な手順を解説します。

各ステップを丁寧に行うことで、初めての方でも安心して3Dプリントに取り組むことができます。

プリンターの設置と初期設定(レベリング調整)

まず、3Dプリンターを設置する場所を選びます。

重要なのは、水平で振動のない安定した場所を選ぶことです。

不安定な場所に置くと、印刷品質に影響が出ることがあります。

設置後、取扱説明書に従って初期設定を行います。

特にFDM方式のプリンターで欠かせないのがレベリング調整です。

これは、プリント台(ヒートベッド)とノズルの間の距離を、全ての箇所で均一にする作業を指します。

一般的には、コピー用紙1枚がギリギリ擦れる程度の隙間に調整します。

自動レベリング機能がついている機種(例: Creality Ender 3 V3 SE)であれば、この作業は大幅に簡略化されます。

レベリング調整って、毎回やる必要あるんですか?難しそう…

最初は戸惑うかもしれませんが、自動レベリング機能付きの機種なら簡単ですよ!印刷前に毎回確認するのが理想ですが、少なくとも数回に一度はチェックしましょう。

正確なレベリング調整は、造形物がプリント台にしっかりと定着し、美しい一層目を作るために不可欠な作業です。

スライサーソフトでの主な印刷設定項目

3Dモデルデータを印刷可能な形式に変換するのがスライサーソフトの役割です。

代表的な無料ソフトにはUltimaker CuraPrusaSlicerがあります。

これらのソフトで3Dモデルを開き、印刷設定を行います。

設定項目は多岐にわたりますが、初心者がまず理解しておきたい主な項目は以下の通りです。

最初は、使用するフィラメントの種類(PLAなど)に合わせてソフトが提供する推奨設定(プロファイル)を試してみるのが良いでしょう。

例えば、積層ピッチを0.2mm、充填率を15%に設定すると、一般的な品質と強度で比較的早く印刷できます。

設定項目がたくさんあって、どれを変えればいいのか分からない…

まずは積層ピッチと充填率、サポート材の有無から調整してみましょう!造形物の用途に合わせて強度や精細度を変えられます。

これらの設定を理解し調整することで、印刷時間、強度、見た目の品質をコントロールできるようになります。

Gコードファイルの生成とプリンターへの転送方法

スライサーソフトで印刷設定が完了したら、「スライス」ボタンをクリックします。

すると、プリンターが理解できる命令が記述されたGコードファイルが生成されます。

Gコードは、ノズルの移動経路、押し出すフィラメントの量、温度などを細かく指示するテキストファイルです。

ファイル名は、分かりやすいようにモデル名や設定内容を含めておくと良いでしょう(例: スマホスタンド_PLA_0.2mm.gcode)。

生成されたGコードファイルをプリンターに転送する方法は、主に3つあります。

Wi-Fiで送れると楽そうだけど、どのプリンターでもできるのかな?

最近の機種ではWi-Fi対応が増えています!購入前に仕様を確認しましょう。ANYCUBIC Kobra 2 NeoなどもWi-Fi対応です。

お使いのプリンターがどの方法に対応しているか確認し、確実にファイルを転送することが、設定通りの印刷を行うために必要です。

印刷開始時のチェックポイント(定着確認)

Gコードファイルを転送し、プリンター本体でファイルを選択して印刷を開始します。

ここからが重要な定着確認のステップです。

印刷が始まったら、最初の数分間はプリンターから目を離さず、1層目がプリント台にしっかり付着しているかを確認しましょう。

具体的には、以下の点に注目します。

もし1層目がうまく定着しない場合(フィラメントが玉になる、線が剥がれるなど)は、すぐに印刷を停止してください。

主な原因としては、レベリング調整のずれ、ノズルとベッドの温度設定ミス、プリント台の汚れなどが考えられます。

原因を特定し、設定を見直してから再度印刷を開始します。

最初の層がうまく付かないことが多いんだけど、どうすればいい?

レベリングを再調整するか、プリント台にスティックのり(しわにならないタイプ)やマスキングテープ、専用のビルドシートを使うと定着しやすくなりますよ。

最初の層が綺麗に定着すれば、その後の印刷が成功する可能性は大幅に高まります。

この最初のステップを丁寧に行うことが大切です。

印刷中の注意点と見守り

1層目の定着を確認できれば一安心ですが、印刷完了までには数時間から、時には数十時間かかることもあります。

その間も、完全に放置するのではなく、時々印刷状況を確認することをおすすめします。

特に注意したいのは以下の点です。

長時間印刷になる場合は、フィラメントが途中でなくならないか、事前に残量を確認しておくことも重要です。

多くのプリンターには印刷の一時停止機能がありますので、何か問題を発見した場合は、まず一時停止して状況を確認しましょう。

安全のため、就寝中や長時間の外出など、目が届かない状態での連続運転は極力避けるようにしてください。

印刷中に外出しても大丈夫?火事とか心配…

安全機能が付いている機種もありますが、基本的には目の届く範囲で見守ることを推奨します。Webカメラで遠隔監視できる仕組みを作る方もいます。

印刷中の定期的なチェックと、万が一のトラブル発生時の迅速な対応が、失敗を防ぎ、安全に3Dプリントを楽しむための鍵となります。

作品完成へ、仕上げ作業とトラブル対策

作品完成へ、仕上げ作業とトラブル対策

印刷が無事に終わっても、それで完成ではありません。

造形物を取り外し、必要に応じて後処理を施すことで、作品の完成度は大きく向上します。

また、3Dプリントにはいくつかの典型的な失敗例があり、その原因と対策を知っておくことが、スムーズな制作活動には不可欠です。

ここでは、印刷完了後の造形物の取り外し方から、見栄えを良くするためのサポート材の除去、FDM方式と光造形方式それぞれの後処理方法について解説します。

さらに、初心者が陥りやすいよくある失敗の原因と具体的な対処法、安全な作業のための注意点、気になるランニングコストの目安、そしてスキルアップに役立つ情報収集の方法まで、幅広くカバーしていきます。

造形物の安全な取り外し方

印刷が完了したら、まずプリント台(プラットフォームやヒートベッド)が十分に冷めるのを待つことが大切です。

高温のまま無理に取り外そうとすると、造形物が変形したり、火傷をしたりする危険があります。

多くの場合、プリント台が冷えると材料の収縮によって造形物は自然に剥がれやすくなります。

もしプリント台にしっかりと固着している場合は、プリンターに付属している、または別途用意したヘラ(スクレーパー)を使用します。

ヘラを造形物の底面とプリント台の間に慎重に差し込み、少しずつ力を加えていくのがコツです。

この際、造形物やプリント台の表面を傷つけないように、またヘラで怪我をしないように十分に注意して作業を進めてください。

最近では、プリント台自体が磁石で固定されており、取り外して軽く曲げることで造形物を簡単に剥がせるフレキシブルプレートを採用したプリンターも増えています。

熱いうちに取ってしまいたいけど、やっぱり待つべき?

はい、焦りは禁物です。冷めるまで待つことで、作品もプリンターも傷つけずに済みますよ

造形物を安全かつ丁寧に取り扱うことが、作品の品質を維持し、プリンターを長く使い続けるための第一歩となります。

サポート材のきれいな除去方法

サポート材とは、造形物を作る際に、オーバーハング(宙に浮いた部分)やブリッジ(橋渡し構造)など、そのままでは崩れてしまう箇所を支えるために同時に印刷される補助的な構造物のことです。

印刷完了後、このサポート材は不要になるため取り除く必要があります。

サポート材の除去は、多くの場合、手で折る、ラジオペンチで掴んで剥がす、ニッパーで切り取るといった方法で行います。

細くて脆いサポート材は手で簡単に除去できることもありますが、太く頑丈なサポート材や、造形物本体との接合部がしっかりしている場合は、工具を使うと効率的です。

ニッパーを使えば太い部分も切断でき、ラジオペンチは狭い箇所のサポート材をつまんで取り除くのに便利です。

除去作業の際には、サポート材の破片が飛散することがあるため、安全のために保護メガネを着用することをおすすめします。

サポート材を取った跡がガタガタで目立つけれど、どうしたら綺麗になる?

デザインナイフで慎重に削ったり、目の細かいヤスリで磨いたりすると、かなり綺麗に仕上がりますよ

サポート材を丁寧に取り除くことで、造形物本来の美しい形状が現れ、作品全体の完成度が格段に向上します。

FDM方式の後処理(研磨、塗装)

FDM方式(熱溶解積層方式)の3Dプリンターで作られた造形物は、樹脂を一層ずつ積み重ねていくという製造方法の特性上、表面に微細な段差(積層痕)が残ることが一般的です。

この積層痕を目立たなくし、より滑らかで美しい仕上がりにするためには、研磨という後処理が効果的です。

研磨作業には、紙ヤスリや耐水ペーパーがよく用いられます。

まずは目の粗い番手(例:240番や400番)で全体の大きな凹凸や積層痕を削り、次に目の細かい番手(例:800番、1000番、さらに細かいもの)へと段階的に変えていくことで、表面を滑らかに整えていきます。

水をつけて研磨する「水研ぎ」を行うと、削りカスが飛散しにくく、より滑らかな仕上がりになります。

また、ABS樹脂の場合は、アセトン蒸気を使って表面を溶かし、積層痕を消す方法もありますが、アセトンは引火性が高く、蒸気も有害なため、換気や火気管理など、安全対策を万全に行う必要があります。

研磨で表面を整えた後、塗装を施すことで、作品に色を付けたり、質感を高めたりすることができます。

塗装の前には、模型用のサーフェイサー(プライマー)を吹き付けることをおすすめします。

サーフェイサーは、細かい傷を埋め、塗料の食いつきを良くする下地処理の役割を果たします。

その後、アクリル塗料やラッカースプレーなどを使い、筆塗りやエアブラシで好みの色に塗装します。

最後にトップコート(つや消しまたは光沢のクリアスプレー)を吹き付けることで、塗膜を保護し、最終的な質感を調整できます。

丁寧な研磨と塗装を行うことで、FDM方式の造形物でも、まるで既製品のような高い完成度を目指すことが可能です。

光造形方式の後処理(洗浄、二次硬化)

光造形方式(SLA/DLPなど)で出力された造形物は、印刷直後は表面に未硬化の液体レジンが付着しています。

このベタベタしたレジンを取り除くために、洗浄作業が必須となります。

一般的には、IPA(イソプロピルアルコール)または専用の洗浄液を入れた容器に造形物を浸し、筆で優しくこすったり、容器を振ったりして洗い流します。

より効率的に洗浄するために、超音波洗浄機を使用するのも効果的です。

近年では、IPAを使わずに水で洗い流せるタイプのレジン(水洗いレジン)も普及しており、後処理の手間や安全面でのハードルを下げています。

洗浄が終わったら、造形物に残った洗浄液をエアダスターで吹き飛ばしたり、柔らかい布(キムワイプなど)で拭き取ったりして乾燥させます。

その後、造形物を完全に硬化させるための二次硬化を行います。

洗浄後の造形物はまだ完全に硬化しておらず、強度が不十分な状態です。

専用のUV硬化機(キュアリングマシン)を使用するか、太陽光(紫外線)に一定時間当てることで、レジンを内部までしっかりと硬化させます。

二次硬化を行うことで、造形物の強度、耐久性、表面硬度が向上します。

未硬化レジンやIPAは皮膚に刺激を与える可能性があるため、洗浄から二次硬化までの一連の作業中は、必ずニトリル手袋保護メガネを着用し、十分な換気を行いましょう。

よくある質問(FAQ)

3Dプリンターって、具体的にどんなものが作れるんですか?

スマートフォンスタンドやケーブルをまとめるクリップといった日用品から、お好きなキャラクターのフィギュアやミニチュア、DIYで使う治具(補助具)まで、アイデア次第で様々なものを形にできます。

壊れてしまった家電の小さなプラスチック部品を複製することも可能です。

最初は無料の3Dデータをダウンロードして印刷してみるのが、手軽でおすすめとなります。

初心者向けで、なるべく価格が安い3Dプリンターはありますか?

はい、ご安心ください。

特にFDM方式(熱溶解積層方式)の3Dプリンターには、3万円から5万円程度で購入できる家庭向けの入門モデルが数多くあります。

組み立て済みで、操作も比較的簡単な機種が初心者の方にはおすすめです。

インターネットでレビューが多く、使い方に関する情報が見つけやすい定番のモデルを選ぶと、困ったときにも解決策を見つけやすいでしょう。

デザインの知識がない初心者でも、3Dプリントは楽しめますか?

全く問題ありません。

自分で一から3Dデータを作成できなくても大丈夫です。

「Thingiverse」や「Printables」といったウェブサイトには、世界中のユーザーが作成し、共有している無料の3Dモデルデータが膨大にあります。

まずはこれらのサイトから興味のあるデータを探してダウンロードし、それを印刷することから気軽に始められますよ。

印刷が途中で失敗したり、うまくいかなかったりしませんか?

残念ながら、特に最初のうちは印刷が失敗することもあります。

しかし、よくある失敗の原因と、その対処法を知っておけば、過度に心配する必要はありません。

例えば、印刷物がプリント台から剥がれてしまう場合は、台とノズルの間の距離を再調整(レベリング)したり、プリント台にスティックのりや専用シートを使ったりすることで改善できます。

失敗から学ぶことも多いですよ。

プリンター本体の価格以外に、継続的にかかる費用はどれくらいですか?

3Dプリントを続ける上で主にかかる費用は、材料費と電気代です。

FDM方式で最も一般的に使われるPLAというフィラメントは、1kgあたり2,000円から4,000円程度で購入できます。

光造形方式で使う液体状のレジンは、種類にもよりますが500gあたり3,000円から8,000円程度が目安となります。

電気代は、お使いの機種や印刷時間によって変動しますが、一般的にそれほど高額にはなりません。

家の中で3Dプリンターを使う場合、安全性や音、臭いなどは大丈夫ですか?

FDM方式のプリンターは、動作音が少し気になる場合がありますが、安定した水平な場所に設置することで軽減できます。

光造形方式の場合は、材料であるレジン特有の臭いが発生するため、作業中は部屋の換気をしっかりと行うことが大切です。

どちらの方式でも、ノズルやプリント台は高温になりますので、やけどには十分注意しましょう。

安全のために保護具を使用することも推奨します。

まとめ

この記事では、3Dプリントをゼロから始めるための必要な知識を、5つのステップに沿って解説しました。

基本的な仕組みから機材の選び方、印刷の手順、作品完成までの流れを網羅しています。

これで、あなたも3Dプリントを楽しむ準備ができました。

ぜひ無料の3Dデータを探し、最初の作品作りに挑戦してみてください。

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