ホイール戦略は、日々の株価に一喜一憂せずに安定した収入を目指せる投資手法です。
「株を安く買う権利」と「株を高く売る権利」の売却を繰り返すことで、配当金のように毎月プレミアム収入を積み上げていく仕組みを解説します。

オプション取引って専門的で難しそう…初心者でも大丈夫かな?

ご安心ください、仕組みと具体的なやり方を4つのステップでわかりやすく解説します
- ホイール戦略の仕組みとインカムゲインの考え方
- 初心者向けの具体的な始め方4ステップ
- 知っておくべきメリットとデメリット
- 利益シミュレーションや税金の知識
ホイール戦略の仕組み|2つのオプション取引でプレミアム収入を狙う投資手法
ホイール戦略の核心は、2つのシンプルなオプション取引を繰り返し行うことで、継続的な収入(プレミアム収入)を目指す投資手法です。
この戦略を理解することで、株価の上昇、下落、横ばいといった市場の様々な局面で利益を得るチャンスが生まれます。
これから、ホイール戦略を構成する2つのオプション取引、「キャッシュセキュアードプット」と「カバードコール」について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
プット売りとコール売りを車輪のように繰り返す仕組み
ホイール戦略は、その名の通り、車輪(ホイール)が回転するように「プットオプションの売り」と「コールオプションの売り」という2つの取引を順番に繰り返すことから名付けられました。
まず「株を安く買う権利(プットオプション)」を売るところからスタートし、その後の株価の動きに応じて「保有株を高く売る権利(コールオプション)」を売るフェーズへと移行します。
このサイクルは、理論上半永久的に続けることができ、その都度プレミアムと呼ばれる手数料収入を受け取ることが可能です。
約30日〜45日程度の短い期間のオプションを取引することで、毎月のように収益機会を作り出す投資家も少なくありません。

なんだか複雑そう…私にできるかな?

大丈夫です、一つ一つの取引はシンプルなので順を追って理解しましょう
この一連の流れをマスターすれば、市場の状況に左右されにくい安定した資産運用に繋がります。
キャッシュセキュアードプットで株を割安に買う権利の売却
最初のステップであるキャッシュセキュアードプットは、「あなたが買いたいと思っている特定の銘柄を、決められた価格(権利行使価格)で買う権利」を売る取引です。
この取引を行う対価として、プレミアム収入を受け取ることができます。
「キャッシュセキュアード」とは、万が一権利行使されても必ず株を買い付けられるよう、必要な現金を確保した状態で行うことを意味します。
例えば、現在株価が60ドルのコカ・コーラ(KO)の株を、もう少し安い価格で手に入れたいと考えているとします。
このとき、「1ヶ月後にKO株を58ドルで買う権利(プットオプション)」を売ります。
この取引が成立した時点で、あなたはプレミアムとして現金を受け取るのです。
その後の展開は、満期日の株価によって決まります。
| 満期日の株価 | 結果 | あなたの行動 |
|---|---|---|
| 58ドル以上 | 権利行使されない | プレミアムが利益として確定 |
| 58ドル未満 | 権利行使される | 1株58ドルで100株購入 |
このように、権利が行使されなくてもプレミアムが利益となり、もし権利が行使された場合でも、狙っていた銘柄を市場価格より割安で購入できるというメリットがあります。
カバードコールで保有株を高く売る権利の売却
前のステップでキャッシュセキュアードプットが権利行使され、あなたが株式を保有することになった場合、次のステップであるカバードコールに移ります。
「あなたが保有している株式を、決められた価格(権利行使価格)で売る権利」を売る取引です。
もちろん、この取引でも対価としてプレミアム収入を受け取れます。
「カバード」とは、保有している株式を担保にコールオプションを売ることを指します。
先ほどの例を引き継ぎ、1株58ドルでKO株を100株保有したとします。
次に「1ヶ月後にKO株を62ドルで売る権利(コールオプション)」を売ります。
この取引が成立すると、再びプレミアムとして現金を受け取れるのです。
この後の展開も、満期日の株価によって変わります。
| 満期日の株価 | 結果 | あなたの行動 |
|---|---|---|
| 62ドル未満 | 権利行使されない | プレミアムが利益として確定し、株は保有したまま |
| 62ドル以上 | 権利行使される | 1株62ドルで100株売却 |
もし権利行使されずに株を保有し続けた場合は、再びカバードコールを売ってプレミアムを狙います。
権利行使されて株が手元からなくなった場合は、最初のキャッシュセキュアードプットに戻り、また新たなサイクルを開始するのです。
高配当株投資に似たインカムゲイン戦略
ホイール戦略は、株価の値上がり益を積極的に狙うというより、オプションのプレミアムをコツコツと積み上げていく定期的な収入(インカムゲイン)を重視する戦略です。
この点は、定期的に配当金を受け取る高配当株投資と非常によく似ています。
高配当株投資との大きな違いは、収入の源泉です。
配当金は企業が利益から株主に分配するものですが、プレミアム収入はオプションの買い手から支払われます。
そのため、ホイール戦略をうまく活用すれば、配当利回り以上の年間リターンを目指すことも可能です。

配当金みたいな収入が毎月得られるイメージ?

その通りです、しかも配当より高い利回りも期待できます
日々の株価の動きに一喜一憂することなく、仕組みに基づいて着実に収入を積み上げていきたいと考える投資家にとって、ホイール戦略はとても相性の良い投資手法となります。
初心者向けホイール戦略の始め方4ステップ

ホイール戦略を始めるための手順は、大きく分けて4つのステップに分かれます。
一つひとつのステップは決して難しくありませんので、着実に進めていきましょう。
特に、最初のステップである証券口座の開設をクリアすることが、この戦略を始めるための第一歩です。
これらのステップを順番に踏むことで、初心者の方でも安心してホイール戦略をスタートできます。
Step1. オプション取引に対応した証券口座の開設
ホイール戦略を始めるには、まず米国株のオプション取引に対応した証券会社の口座が必要です。
日本の多くのネット証券では、米国株の現物取引はできてもオプション取引には対応していないため、注意しなくてはなりません。
国内で個人投資家が米国株オプション取引を行う場合、主にサクソバンク証券やインタラクティブ・ブローカーズ証券などが選択肢となります。
口座開設には審査があり、申し込みから取引開始まで数週間程度かかることもあるため、早めに手続きを始めることをおすすめします。

どの証券会社を選べばいいの?

まずは日本語での情報が豊富で、サポート体制が整っている証券会社を選ぶのがおすすめです
ホイール戦略への挑戦は、この口座開設から始まります。
まずは最初の一歩として、口座開設の申し込みを済ませてしまいましょう。
Step2. 戦略に適した銘柄の選定
口座の準備ができたら、次はホイール戦略で取引する銘柄を選びます。
この戦略では、値動きが比較的安定している優良企業の株式を選ぶことが成功の鍵となります。
なぜなら、株価が暴落すると大きな損失につながるリスクがあるからです。
具体的には、コカ・コーラ(KO)やP&G(PG)のように、長年にわたり安定した業績を維持し、定期的に配当を出しているディフェンシブ銘柄が候補になります。
オプション取引は100株単位で行うため、銘柄の株価×100株分の資金を準備する必要がある点も覚えておきましょう。
| 銘柄選びのポイント | 説明 |
|---|---|
| 企業の安定性 | 長期的に事業が安定しており、倒産リスクが低い |
| 株価の安定性 | 日々の値動きが激しくなく、株価の予測がしやすい |
| 配当の実績 | 継続的に配当を出しており、インカムゲインも期待できる |
| 流動性の高さ | 取引量が多く、オプションの売買が成立しやすい |
どの銘柄を選ぶかが、ホイール戦略の成果を大きく左右します。
自分が長期的に保有しても良いと思える、信頼できる企業の銘柄を選びましょう。
Step3. キャッシュセキュアードプット(プットオプション売り)の注文
銘柄を決めたら、いよいよ最初の取引である「キャッシュセキュアードプット」の注文に進みます。
これは、「あらかじめ決めた価格(権利行使価格)で、将来の特定の期日(満期日)までに、その株を100株買う権利」を売る取引のことです。
この権利を売る対価として、プレミアム収入を受け取れます。
注文時には、権利行使価格と満期日を自分で設定します。
例えば、現在の株価が50ドルの銘柄に対して、「1ヶ月後に48ドルで買う権利」を売る、といった形です。
権利行使価格を現在の株価より低く設定するほど、権利行使される確率が下がり安全性が高まりますが、受け取れるプレミアム収入は少なくなります。

権利行使価格や満期日はどうやって決めるのがいいんだろう?

初めのうちは満期日までの期間を30日程度と短めにし、現在の株価より5%〜10%程度低い価格を設定することから試してみましょう
このステップが、ホイール戦略で最初のプレミアム収入を得るための具体的な行動です。
Step4. 権利行使後のシナリオに応じた次のアクション
プットオプションを売った後は、満期日を迎えるのを待ちます。
満期日の株価と権利行使価格の関係によって、その後の展開は2つのシナリオに分かれます。
どちらのシナリオに進むことになっても、次のアクションが決まっているのがホイール戦略の優れた点です。
満期日の株価が権利行使価格よりも高ければ、権利は行使されず、受け取ったプレミアムがそのまま利益になります。
もし株価が権利行使価格以下になった場合は権利が行使され、あなたは約束通りその株を100株購入します。
| シナリオ | 条件 | 次のアクション |
|---|---|---|
| 権利行使されない | 満期日の株価 > 権利行使価格 | プレミアムが利益となり、再度Step3に戻る |
| 権利行使される | 満期日の株価 ≦ 権利行使価格 | 約束通り株を買い、次はカバードコール戦略へ |
権利行使されて株を保有することになったら、次は保有した株式を使って「カバードコール(コールオプション売り)」を行い、新たなプレミアム収入を狙います。
このように、状況に応じて戦略を回していくのがホイール戦略の仕組みです。
ホイール戦略のメリットと知っておくべきデメリット

ホイール戦略は安定した収益が期待できる一方で、注意すべき点も存在します。
メリットとデメリットの両方を正しく理解することが、安心して資産運用を続けるための第一歩です。
メリットとデメリットを比較し、この投資手法がご自身のスタイルに合っているか確認しましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット① | 株価の方向性に関わらずプレミアム収入を狙える |
| メリット② | 狙っていた優良株を市場価格より安く取得できる可能性がある |
| メリット③ | 一度注文すれば満期日まで手間なく運用できる |
| デメリット① | 株価が暴落すると大きな含み損を抱えるリスク |
| デメリット② | 株価が高騰した際の大きな値上がり益を逃してしまう |
これらの特徴を理解することで、ホイール戦略を有効に活用できます。
着実に収益を積み重ねたいと考えるあなたにとって、心強い味方となる投資手法です。
メリット|市場の方向性を問わないプレミアム収入
ホイール戦略の最大の魅力は、オプションの権利を売ることで得られる「プレミアム」という手数料収入です。
このプレミアムは、株価が上昇・下落・横ばいのいずれであっても、最初に受け取ることができます。
例えば、株価50ドルの銘柄に対し、権利行使価格48ドルのプットオプションを売ると、プレミアムとして100ドル(1単位あたり1ドルと仮定)の収入が確定します。
満期日に株価が48ドルより高ければ、この100ドルがそのまま利益となります。
これは、配当金のように定期的な収入源となり得るものです。

株価が上がっても下がっても利益が出るなんて、本当ですか?

はい、株価が権利行使価格といった特定の条件を満たせば、最初に受け取ったプレミアム分がそのまま利益になります。
日々の株価の動きに一喜一憂することなく、安定したキャッシュフローを生み出す可能性がある点は、忙しい会社員の方にとって大きな精神的な支えとなります。
メリット|狙った株を市場価格より安く購入できる可能性
もしプットオプションを売った後に株価が下落し、権利行使された場合でも、それは単なる損失ではありません。
元々購入を検討していた優良株を、市場価格よりも割安で手に入れるチャンスと捉えることができます。
株価50ドルの時に権利行使価格48ドルのプットを売り、プレミアムを1ドル受け取ったとします。
満期日に株価が47ドルになり権利行使されると、あなたは48ドルで100株購入します。
しかし、最初に100ドルのプレミアムを受け取っているため、実質的な購入単価は1株あたり47ドルです。
これは、権利行使されなければ得られなかった有利な購入価格といえます。

どんな株でも安く買えれば良いわけではないですよね?

その通りです。だからこそ、長期的に保有したいと思える優良銘柄を選ぶことが重要になります。
この戦略は、優良企業の株式を安値で仕込むという、長期投資の考え方と非常に相性が良いのです。
計画的に株式を買い増していくための一つの手段として活用できます。
メリット|満期日まで手間がかからない運用
一度オプションの売り注文を出してしまえば、あとは満期日を待つのが基本です。
日中の株価を常に追いかける必要がなく、「設定して待つだけ」という手軽さは、本業を持つ投資家にとって見逃せない利点です。
オプションの満期日は1週間後から数カ月先まで様々ですが、一般的には30日から45日程度先の満期日が選ばれることが多いです。
その期間、市場が大きく荒れない限りは、特別な操作は必要ありません。
通勤時間や寝る前のわずかな時間で取引の設定を済ませることが可能です。

仕事が忙しいのですが、本当に放置していても大丈夫ですか?

はい、満期日まで待つのが基本です。ただし、市場の急変時には状況確認をおすすめします。
頻繁な売買によるストレスから解放され、心に余裕を持って資産運用を続けられる点は、長期的な成功の鍵となります。
デメリット|株価暴落による大きな含み損のリスク
ホイール戦略における最も注意すべき点は、予期せぬ株価の暴落です。
プットオプションを売った後に株価が大きく下落すると、権利行使によって高値で株式を購入する義務が生じ、大きな含み損を抱えることになります。
株価50ドルの銘柄で権利行使価格48ドルのプットを売り、100ドルのプレミアムを得たとします。
その後、経済危機などで株価が30ドルまで暴落すると、あなたは48ドルで100株購入することになり、市場価格との差額である1,800ドル((48ドル-30ドル)×100株)もの含み損が発生します。
プレミアム収入をはるかに上回る損失です。

暴落したら、どうなってしまうのですか?

含み損は発生しますが、優良株であれば株価の回復を待つという選択もできます。
このリスクを回避するためには、失っても生活に影響のない余剰資金で運用すること、そして、万が一株価が下がっても長期保有する覚悟が持てる、事業内容の優れた企業の銘柄を選ぶことが不可欠です。
デメリット|株価高騰時の大きな値上がり益の放棄
ホイール戦略のもう一つの側面は、カバードコール(保有株を売る権利の売却)の際に起こります。
保有している株式の株価が予想を大きく超えて高騰した場合、得られたはずの大きな値上がり益(キャピタルゲイン)を逃してしまうことになります。
例えば、1株60ドルで保有している株式について、権利行使価格65ドルのコールオプションを売ったとします。
その後、画期的な新製品の発表で株価が80ドルまで急騰しても、あなたは65ドルで売却する義務があります。
つまり、65ドルから80ドルまでの15ドル分の値上がり益は得られません。

せっかく株価が上がったのにもったいない気がします…

ホイール戦略は大きな値上がり益よりも、着実なプレミアム収入を優先する投資手法なのです。
この戦略は、株価の急騰による爆発的な利益を狙うものではなく、あくまでプレミアム収入をコツコツと積み上げていくインカムゲイン重視の手法です。
その特性を理解した上で取り組むことが大切です。
ホイール戦略の利益シミュレーションと税金の知識
ホイール戦略を実践する上で、どれくらいの利益が見込めるのか、そして税金はどうなるのかを事前に把握しておくことは、計画的な資産運用に不可欠です。
具体的なシミュレーションを通して、ご自身の投資計画と照らし合わせてみましょう。
米国株での利益計算シミュレーション
ここでは、具体的な銘柄を例に、ホイール戦略の利益計算シミュレーションを行います。
今回は、値動きが比較的安定している高配当株として知られる米国株のコカ・コーラ(KO)を例に取り上げます。
例えば、現在の株価が60ドルの時に、権利行使価格58ドル、満期日1ヶ月後のプットオプションを売ったとします。
この取引で1株あたり0.5ドル(合計50ドル)のプレミアム収入を得られたと仮定しましょう。
| 満期日の株価 | 結果 | 損益(100株あたり) |
|---|---|---|
| 58ドル以上 | 権利行使されず | +50ドルの利益 |
| 58ドル未満 | 権利行使される | +50ドルの利益、58ドルで100株購入 |
| 57.5ドル | 損益分岐点 | 0ドル |

もし株価が下がって権利行使されたら、利益はどうなるの?

権利行使されても、プレミアム収入はあなたの利益になりますよ
このように、権利行使されて株を保有することになっても、市場価格の60ドルではなく、実質57.5ドル(権利行使価格58ドル – プレミアム0.5ドル)で取得できる計算になります。
安定運用に必要な資金の目安
ホイール戦略を始めるにあたり、最低限必要な資金は「権利行使価格 × 100株」で計算できます。
これは、プットオプションが権利行使された際に、実際に株式を買い付けるための保証金として必要になる金額です。
先ほどのコカ・コーラの例では、権利行使価格が58ドルなので、5,800ドル(約90万円、1ドル155円換算)が最低限の目安となります。

複数の銘柄で運用するには、もっと資金が必要?

はい、リスク分散のためにも、余裕を持った資金計画を立てましょう
これは1銘柄での計算です。
複数の銘柄で同時に運用したり、株価の変動に備えたりするためには、この2〜3倍程度の余裕資金を用意しておくと、精神的にも安定した運用を続けやすくなります。
ホイール戦略で得た利益と確定申告の必要性
ホイール戦略で得たプレミアム収入は「雑所得」に分類され、総合課税の対象となります。
給与所得など他の所得と合算して税金が計算されるため、利益が出た場合は確定申告が必要です。
年間の給与所得以外の所得が合計20万円を超えた場合に、確定申告の義務が発生します。
ホイール戦略だけでなく、他の副業収入などがある方は特に注意しなくてはいけません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所得区分 | 雑所得(総合課税) |
| 確定申告の要否 | 給与所得以外の所得合計が年間20万円超の場合 |
| 必要経費 | 取引手数料など |
| 注意点 | 損益通算の範囲が限定的 |
取引にかかった手数料などは必要経費として計上できます。
確定申告の時期に慌てないよう、日頃から取引記録を整理しておくことが大切です。
株価暴落時の対処法と損失のリスク管理
ホイール戦略における最大のリスクは、予期せぬ株価の暴落です。
権利行使によって市場価格よりも高い価格で株式を保有することになり、大きな含み損を抱える可能性があります。
例えば、リーマンショックのような金融危機が発生し、株価が30%以上下落するケースも想定しておく必要があります。
| 対処法 | 内容 |
|---|---|
| 株を保有し続ける | 配当を受け取りながらカバードコールでプレミアム収入を狙う |
| 損切りする | 決めておいた損切りラインで損失を確定させる |
| プットオプションの買い | 保有ポジションの損失を限定的にする保険的な取引 |

暴落が起きたら、どうすればいいの?

慌てずに、事前に決めたルールに従って行動することが重要です
最も重要なのは、暴落時でも保有し続けられる優良な銘柄を選ぶことと、失っても生活に影響のない余剰資金で投資を行うことです。
この準備によって、冷静な判断が可能になります。
よくある質問(FAQ)
ホイール戦略を始めるのに、具体的にどのくらいの資金が必要ですか?
ホイール戦略を始めるには、少なくとも100万円程度の資金を準備することをおすすめします。
この投資手法では、プットオプションが権利行使された際に株式を100株単位で購入する必要があるためです。
例えば、権利行使価格50ドルのプットオプションを売る場合、約80万円(50ドル×100株×160円/ドル)の資金が必要になります。
余裕を持ったリスク管理のためにも、最低限の資金に加えて、生活に影響のない余剰資金を用意して始めましょう。
どのような銘柄を選ぶと失敗しにくいのでしょうか?
失敗のリスクを減らすには、長年にわたって安定した業績を維持している大型の優良株や高配当株を選ぶのが基本です。
コカ・コーラ(KO)やジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)のように、景気の変動に強く、配当を出し続けている企業の米国株は、ホイール戦略の銘柄として適しています。
反対に、業績が不安定なグロース株や、値動きの激しい銘柄は、初心者には難易度が高いため避けるのが賢明です。
権利行使価格や満期日は、どうやって決めるのが良いですか?
慣れないうちは、満期日を30日から45日先に設定し、権利行使価格は現在の株価より5%から10%程度低い価格に設定する方法が安全です。
権利行使価格を低く設定するほど、株を保有する可能性は下がりますが、その分プレミアム収入は少なくなります。
逆に価格を高く設定すると収入は増えますがリスクも高まる、という関係性を理解することが大切です。
ご自身の許容できるリスクの範囲内で、バランスの良い設定を見つけていきましょう。
株価が暴落した場合、含み損を抱えたまま耐えるしかないのですか?
株価が暴落した際の対処法は一つではありません。
最も基本的なやり方は、優良株であると信じて株式を保有し続け、今度はカバードコールでプレミアム収入を狙いながら株価の回復を待つことです。
しかし、相場がさらに悪化すると判断した場合は、損失を限定的にするために損切りをする決断も必要です。
重要なのは、投資を始める前に「株価が何パーセント下落したら損切りする」といった自分なりのリスク管理ルールを明確に決めておくことです。
ホイール戦略で得た利益の確定申告で注意すべき点はありますか?
ホイール戦略で得たプレミアム収入などの利益は「雑所得」として扱われ、給与所得など他の所得と合算して税金が計算されます。
年間の利益が20万円を超えた場合は確定申告が必要です。
注意点として、ホイール戦略の損失は、株式投資などの「譲渡所得」とは損益通算(利益と損失を相殺すること)ができません。
税金の仕組みを正しく理解し、日頃から取引記録を整理しておくことが重要になります。
毎月5万円の不労所得を得るには、どれくらいの資金で運用すれば良いですか?
ホイール戦略で毎月5万円の不労所得を目指す場合、現実的なシミュレーションとして、年間60万円の利益が必要になります。
例えば、年間の利回りを5%と仮定すると、約1,200万円の運用資金が必要という計算です。
オプション取引のプレミアム収入は相場の状況によって変動するため、まずは少額から始め、この投資手法に慣れながら徐々に資金を増やしていくのが着実な始め方です。
まとめ
この記事では、株価の動きに一喜一憂せず、安定した収入を目指せるホイール戦略のやり方を解説しました。
この戦略で最も大切なのは、2つのオプション取引を車輪のように繰り返すシンプルな仕組みを理解することです。
- プット売りとコール売りで継続的にプレミアム収入を狙う
- 株価の方向性に関わらず利益のチャンス
- 株価暴落による含み損が最大のリスク
- 優良銘柄を選び少額から試すことが成功の鍵
ホイール戦略は、仕組みを理解しリスク管理を徹底すれば、忙しい方でも着実に資産を増やす心強い味方になります。
まずは、米国株のオプション取引に対応した証券会社の口座開設から始めてみませんか。

